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【必見】タリウムって何?タリウムに関する事件の過去と現在の事例を掘り下げ

2022年10月、京都市北区の集合住宅の一室でこの部屋に住む大学生の濱野日菜子さん(21)に何らかの方法でタリウムを摂取させて殺害したとして、37歳の男の容疑者が殺人の疑いで逮捕されました。

タリウムという言葉にあまりなじみがありませんが、ちょっと調べても出てくるのは殺人事件などのニュースが多いです。

この記事では

  • タリウムって何?
  • タリウムにまつわる事例や事件

についてみていきたいと思います。

タリウムって何?

タリウムは自然に存在する元素で、致死量は1g、神経系・肺・肝臓・腎臓などに対する毒性が強い物質です。

タリウムは淋病や梅毒・結核といった病気の治療薬に使用されてきた過去を持ち、主に殺鼠剤として使用されてきたことが知られています。

殺鼠剤とはその名の通りネズミを駆除するための薬剤のこと。殺鼠剤は餌として食べさせたり、巣に投入してネズミたちを全滅させるのです。タリウム系の殺鼠剤には硫酸タリウムが使われ、臓器にダメージを与えます。硫酸タリウムはネズミだけでなく、人間の大人でも1g摂取すると死に至る可能性があるものです。

現在では殺鼠剤でも使用されることが少なくなり、薬局などからもあまり見かけなくなっているとか。

タリウムにまつわる事件・事故

1976年 沖縄県児童体調不良

沖縄県のある地域で3歳から5歳の児童6人が脳炎症状を発症。このうち5歳の男の子が命を落としました。当初原因は不明で「何かの感染症では?」との噂も上がりましたが、6人全員の尿からタリウムが検出

結果として、この児童たちの家の近くの鶏舎周辺に、殺鼠目的でタリウムを染み込ませたパンを置いていて、それを児童が食べてしまったことからこのような凄惨な事故が起きてしまったことが判明しました。

1991年 アメリカ・ボビー毒殺事件

1991年9月、アメリカ・ペンシルベニア州に住む、当時32歳のボビーが原因不明の発作を起こし病院へ搬送されました。

手足に衰弱性の痛みを訴え、嘔吐もあり髪が抜けるなどの症状もありましたが、入院しても原因は特定されませんでした。

しかし、食事をとることはでき、しだいに回復に向かっていきました。

ですが、容態が急変し症状が悪化していきます。医師の処置も虚しく助かる見込みが無いと判断され、家族同意のもと生命維持装置が外されることなり、その後死亡が確認。

ボビーの検死を行うと900倍という致死量をはるかに超える量の毒物・タリウムが検出され、何者かに毒殺されたと判明。

その後、看護師から、生前にボビーさんが「妻は私を殺そうとしている」と話されていたことが証言され、妻ジョアンさんが生命保険金目当てで1年以上継続してタリウムを飲ませていたことや、罪を他の人に向けさせるためにジョアンさん自身や娘にも少量のタリウムを飲ませていたことが判明しました。

1991年 東大タリウム毒殺事件

動物実験施設の技官・中村良一さんが手足のしびれと全身の痛みを訴え、多発性神経炎と診断されて入院となりました。

しかし中村さんの症状は入院しても改善せず、歩行も困難な状態に。さらに不眠、脱毛、食欲不振、幻覚、激しい腹痛を繰り返し死亡しました。

生前に中村さんが「同僚から毒を盛られたかもしれない」と言っていたため司法解剖が行われました。すると、中村さんの遺体のつめと髪から高濃度の酢酸タリウムが検出。

細菌培養の際のカビ防止剤として用いられ、動物実験施設では薬品庫に常備されていて、結果としてそれが使われたということに。

その事件から2年以上たった後、被害者の上司が飲みかけのコーヒーに酢酸タリウムを混ぜたのが明らかとなりました。

2005年 静岡女子高生母親毒殺事件

2005年、16歳の高校一年生の女子生徒が酢酸タリウムを母親に摂取させるという殺人未遂事件が。

事件の内容としては、進学校の化学部所属の彼女は自分で薬局から劇物のタリウムを購入し、母親に飲ませてその様子を観察しブログにアップしていたという恐ろしい内容。

この事件をもとに「タリウム少女の毒殺日記」という映画が作成され、2013年に公開されました。

2011年 製薬会社で混入

2011年、田辺三菱製薬の横浜事業所の仲間達で行われた飲み会の席で研究員の男が粉末状の硫酸タリウムをウーロン茶に溶かして同僚の男女5人に飲ませていたことが判明。

被害者達には全身の痛みや脱毛といった薬物中毒の症状が起こり、男は傷害罪の罪で逮捕されています。

ウーロン茶は研究棟であった女性社員の結婚祝いで出されたもので、男は粉末状の硫酸タリウムの小瓶を薬品庫から持ち出し、事件の数日前、水に溶かして研究棟の冷蔵庫にあったウーロン茶のペットボトルに混入したようです。

2014年 同級生にタリウムを飲ませた女子高生

2014年に殺人事件の犯人として逮捕された女子大学生。

余罪を追及するうちに、彼女が高校時代に同級生にタリウムを飲ませていたことが判明。致死量が1gの硫酸タリウムを0.8~1.2gほど飲ませたそうです。

女子大生はこれを個人営業の薬局で殺鼠剤として購入したと証言しています。逮捕時にはこの薬局はもう潰れてしまっています。

2022年 女子大生をタリウムで殺害

2022年10月、京都市北区の大学生・濱野日菜子さんが知人の宮本容疑者と京都市内の飲食店で食事をしたあと、自宅で2人で過ごしている間に体調が急変し、咳が止まらなくなって救急搬送。 濱野さんは病院に搬送されましたが、3日後に死亡しました。

死因は、タリウムを摂取したことによる急性呼吸窮迫症候群

警察の調べに対して、宮本容疑者は黙秘しているということなので、動機やどうやってタリウムを混入させたのかなどについては不明です。

まとめ

いずれも凄惨な事件であり、これらの事件から、タリウムが危険であることや、適切な扱いをしないことが引き起こす深刻な事故や事件の可能性があることが再確認することができました。

安全なタリウムの取り扱いが重要であり、犯罪やいたずらとしてのタリウムの使用は、強い非難と厳しい処罰を受けることになります。タリウムに関する正しい知識を持ち、適切な扱いをすることが必要です。

最後まで読んでいただいてありがとうございました。